前回のコラムでパーキンソン病の症状は、中脳という部分の神経細胞が減ってしまい、ドーパミンというホルモンが減ってしまうため、運動の指令が上手く伝わらず運動障害へと繋がっている、ということを説明しました。
パーキンソン病の病気そのものの原因は未だに不明ではありますが、運動症状に関しては脳内のドーパミンの量を回復させれば、症状も改善する事がわかっています。ですので、根本的な治療法がまだ開発されていない現状では、症状を少しでも良くして、日常生活への支障を軽減することが治療の中心となります。(このような治療を対症療法と呼びます)
脳内のドーパミンを回復させる方法としては、いくつか手段が考えられます。
- ドーパミンを補充する
- ドーパミンと同じ効果のある物質を補充する
- ドーパミンを長持ちさせるような作用の薬を使用する
- ドーパミンが作用する神経と、相反する働きを行う神経の作用を弱らせる
①はドーパミンの元となるL-dopaという薬になります。どうしてドーパミンそのものではないかということは、次回の各論でお話しします。
②はドパミンアゴニストというグループの薬です。ドーパミンの欠点を改良した薬だと考えていだたければ良いと思います。
③は、体内や脳内でドーパミンを分解してしまう酵素の働きを弱めて、ドーパミンがより長持ちするように考えられた薬です。
④はドーパミンがアクセルを踏むためのホルモンだとしたら、そちらに作用するのではなく、ブレーキを弱めるような作用の薬だとイメージして頂けるとわかりやすいと思います。
各グループの薬について、次回からの各論でお話ししていきたいと思います。
甲斐リハビリテーションクリニック 院長 三輪道然