高血圧症の話の続きです.
まず,自分の血圧がどれくらいか把握しましょう.
ガイドラインで推奨されている血圧チェックのタイミングは,朝起きて1時間以内(排尿後,朝食・内服摂取前)と就寝前です.なので血圧計が家に無いと測れません.
血圧を測定するのが職場やジムや公共温泉だったり,健診の時しか測らない,という人もいるでしょう.もしそれで血圧値が高めだった場合は,血圧計を買って上記のタイミングで血圧をチェックしましょう.
先のコラムで紹介したことですが,ガイドライン上の降圧目標値で見ると,診察室血圧での目標値に比べて自宅血圧での目標値は5mmHg低く設定されています.「白衣高血圧」といって,健診の場や診察室では緊張して血圧が高くなってしまうケースが多いからです.よりリラックスしているはずの家での血圧の方が,“真の血圧”として信頼できるのです.受診の都度診察室で測る血圧がバラバラ,良い時と高い時とで50mmHgも違う・・・なんて場合には数ヶ月に一回だけ診察室で測る血圧なんて全く当てになりません.
高血圧症の治療を受けているならもちろんですが,そうでなくとも,普段から家での朝晩の血圧チェックを健康管理のためにお勧めします.
さて,良い血圧を維持するために自身でできることは何でしょう.
減塩,禁煙,運動等々,細かく挙げれば色々あるのですが,一言で言ってしまえば体重・体型管理です.現代人の生活からすると,適正な体重・体型を保つためにはカロリー管理が必須です.積極的な努力もせずに自然に自由に生きて健康的な体重・体型を保つことは,ほとんどの人にとって不可能です.そして健康的な体重・体型を保つことは,血圧だけでなく,全般的な身体の健康維持に直結します.
カロリーの管理とは,食事で摂取するエネルギーと生活活動で消費するエネルギーの足し引きにおいて,結果プラスにならないようにすること.食欲のままに食べない,不健康な食べ物(細かく挙げなくてもイメージでわかるはずです)を多く食べない,適度な有酸素運動やレジスタンス運動を仕事以外の時間で習慣的に行う,といったことの結果,体重を標準体重内に維持することです.めちゃくちゃトレーニングしていて筋肉量が多い人でなければ,標準体重内といってもBMI 25ギリギリでは不十分です.
この続きは次回お話します...
甲斐リハビリテーションクリニック 一瀬佑太