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Dr.コラム

生活習慣病について➀

甲斐リハビリテーションクリニック副院長の一瀬です.

突然ですが,脳卒中や心筋梗塞になる危険性,皆さん,どのくらいありそうですか?人より低いでしょうか,高いでしょうか?人一倍その危険性を背負っている方,背負っていることに気づいていますか?気づいている方,危険性を減らす努力はできていますか?減らせていますか?

今回は,発症率が高くしばしば致命的となる脳卒中や心筋梗塞について,ではなく(それにも触れますが),その温床になる「生活習慣病」のことをお話します.

我々のクリニックでは脳神経内科医が中心になって診療しており,脳や神経の病気や整形外科疾患の患者様の治療やリハビリテーションを提供していますが,内科医として,高血圧症や脂質異常症,糖尿病といった生活習慣病の内科診療も行なっています.脳卒中の予防,再発予防という観点からも生活習慣病の治療はとても重要です.

今回のお話,まずは脳卒中や心筋梗塞について.脳卒中とは脳梗塞や脳出血といった脳の血管の関わる病気のことを言います.脳梗塞は脳の血管が詰まってその先の脳細胞が壊死してしまう病気であり,脳出血は脳の血管が破れることで脳細胞がダメージを負う病気です.心筋梗塞は心臓病の代表で,冠(かん)動脈が詰まって心臓がダメージを負う病気です.心臓は心筋という筋組織が袋のような形に集まってできていますが,心臓から身体中に送られる血液のうちの一部は,心臓そのものを形作る心筋に供給されます.その供給路が,心臓の表面に3本へばりついている冠動脈です.冠動脈が詰まると,詰まった先の心筋が壊死してしまいます.それが心筋梗塞です.冠動脈が詰まりかけている段階で症状を起こす,狭心症という病気もあります.

脳卒中を起こせば,ひどい頭痛や痙攣,麻痺が起こったり,その麻痺や知的な障害が残ったりします.心筋梗塞を起こせば,強い胸痛が起こり救急搬送です.治療後も後遺症として心不全の状態になったりします.どちらも程度が強ければ致命的で,亡くなってしまう場合や命が助かっても意識が戻らない場合があります.

それぞれ様々な原因があるのですが,多くの場合は血管や血液凝固の異常によって生じます.脳梗塞では,その6〜7割が動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞と呼ばれるものです.脳出血の多くは高血圧性脳内出血です.心筋梗塞や狭心症も,多くは冠動脈内にできた動脈硬化性プラークが原因となります.

このように,脳卒中・心筋梗塞はどちらも動脈硬化や血圧の関わる病気ですが,その共通点として大事なことをもう一つ.無数にある多くの病気が発症を未然に防げない中で,動脈硬化による脳卒中と心筋梗塞(狭心症含む)は,本人次第で発症の危険性を下げ予防することができます.

さて,冒頭の質問.脳卒中や心筋梗塞を発症する危険性,皆さんどの程度でしょうか?これは具体的に何%と言えることではありませんが,もしもあなたが生活習慣病を患っているならば,そうでない方よりも可能性は高いです.患っている生活習慣病の数や程度,喫煙歴や家族歴によってはさらに高まります.

次回へ続きます…。

甲斐リハビリテーションクリニック 副院長 一瀬佑太

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