前回の続きから、
降圧目標値を定める基準は,コラムで書くにはやや複雑です.Aさんのように「正常高値血圧」や「正常血圧」が目標になる人もいれば,Bさんのように「高値血圧」で十分,寧ろ「正常血圧」では何かしらのデメリットやリスクがある,という人もいます.
「高齢なら多少加減するんでしょ」「男性の方が高血圧でのトラブル多そうだよね」「喫煙者の方がより強い治療が必要なんでしょ」なんて単純な話ではないですよ.判断材料は年齢,性別,喫煙の有無だけじゃありません.
治療以前に,患者さんの“真の血圧”を見極めること,それすら単純ではありません.AさんBさんのように白衣高血圧(普段の血圧<病院での血圧)となる人や,逆に仮面高血圧(普段の血圧>病院での血圧)になる人もいますし,早朝高血圧(朝は高いけど日中下がる)や夜間高血圧(日中より夜が高い)の人もいます.二次性高血圧(高血圧自体が,何かの病気の症状の一つである)という人もいます.
ということで,健康のために把握すべきは“真の血圧”,そして治療が必要な場合の降圧目標,“真の至適血圧”は人それぞれである.
果たしてあなたが把握している普段の血圧は“真の血圧”でしょうか.
言い換えれば,医者はあなたの“真の血圧”を見張ってくれているのでしょうか.さらには,その上で個別の降圧目標に向けた治療を提案してくれているでしょうか.ってことでもあるんですけどね.
血圧把握の方法,降圧のために自身ですべきことや治療のことはまた次回.
甲斐リハビリテーションクリニック 一瀬佑太