- パーキンソン病の治療について
これまでのコラムではパーキンソン病の症状について説明してきましたが、
今回は治療について触れていきたいと思います。(症状についてはまだまだお話は続きますが、このままだと治療の話に入れないので)
パーキンソン病のそもそもの要因は、脳の一部の中脳という部分の神経細胞が減ってしまうことによって引き起こされます。この神経細胞は、自分の次の神経細胞に運動の指令を伝達する為に、ドーパミンというホルモンを放出しています。神経細胞が減少してしまう結果として、脳内のドーパミンも減ってしまい、そのため運動の指令が上手く伝わらず、運動障害へと繋がっているのです。
脳の中に神経細胞は沢山あるのですが、病気によって少しずつ減っていき、あるラインを越えたところで、パーキンソン病の運動症状が発症すると考えられています。当然、この神経細胞の減少の度合いによって病期の進行度が決まってくると言うわけです。
パーキンソン病の治療は投薬治療、手術、リハビリテーション、再生医療がありますが、病気の初期の段階から進行期に至るまで、中心となるのは投薬治療です。
投薬治療も、内服薬、貼付剤、注射薬、特殊な機器を使用した注入薬があります。
とは言え、やはり中心となるのは内服薬です。現時点では残念ながらまだ根治療法は生み出されておらず、投薬治療の目的は、減ってしまった脳内のドーパミンを補充する事にあります。ドーパミンが補充されることにより、神経細胞の指令のやり取りが円滑になされる様になると、運動症状が改善するというわけです。
治療によって病気が治って消えるわけではないですが、運動症状を改善する事で日常生活内での活動範囲が広がり、積極的に運動したり外出したりする事が、病気の進行を防ぐことに繋がります。
この次からは一つ一つの治療薬について、お話していきたいと思います。
甲斐リハビリテーションクリニック 院長 三輪道然