第1回 いびきで気づく、睡眠のサイン
・ 「いびき」で妻を怒らせた夜……それ、病気かもしれません
こんにちは。
今回から3回に分けて、「睡眠時無呼吸症候群」についてお話しします。
第1回は、少し個人的な話から始めたいと思います。
・ 妻からの、思いがけない一言
ある日の夜、妻からこんなことを言われました。
「昨日、ほとんど眠れなかったんだけど……」
理由を聞くと、どうやら私のいびきが原因だったようです。
正直なところ、自分ではまったく気づいていませんでした。
「そんなにうるさいの?」
最初は、そんなふうに軽く受け流していました。
ところが、後日、さらに気になることを言われました。
「いびきだけじゃなくて、途中で呼吸も止まっていたよ」
自分が眠っている間のことですから、本人にはなかなか分かりません。
しかし、この一言が、私自身の睡眠について考えるきっかけになりました。
・ それ、本当にただの「いびき」ですか?
いびきは、多くの人に見られる症状です。
疲れているときや、お酒を飲んだあとなどに、いびきをかくこともあります。
ただし、大きないびきや、途中で呼吸が止まるようないびきには注意が必要です。
特に、次のような症状に心当たりはないでしょうか。
– 大きないびきをかく、または不規則ないびきがある
– 寝ている間に呼吸が止まっていると家族から言われた
– 日中に強い眠気がある
– 朝起きても疲れが取れない
– 起床時に頭痛がある
こうした症状がある場合、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群とは、
眠っている間に呼吸が繰り返し止まったり、弱くなったりする病気です。
呼吸が妨げられることで、体内の酸素が低下したり、眠りが何度も妨げられたりします。
本人は長い時間眠ったつもりでも、十分に休めていないことがあるのです。
・ 見逃したくない「夜中のトイレ」と「高血圧」
ここで、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。
それは、睡眠時無呼吸症候群が、いびきや日中の眠気だけでなく、夜間頻尿や高血圧とも関係していることです。
・夜中に何度もトイレに起きる。
・血圧が高く、薬を飲んでいてもなかなか下がらない。
こうした悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
夜間頻尿には、前立腺の病気、過活動膀胱、糖尿病、服用している薬、水分の取り方など、さまざまな原因があります。
高血圧についても、塩分の摂取量、体重、運動不足、遺伝的な要因、腎臓などの病気が関係します。
ですから、夜中にトイレに起きることや、血圧が高いことだけで、睡眠時無呼吸症候群と判断することはできません。
ただし、これらに「大きないびき」や「睡眠中の呼吸停止」が重なっている場合は、睡眠の状態にも目を向けてみる価値があります。
・なぜ、睡眠と血圧が関係するのでしょうか?
睡眠中に呼吸が止まると、体は酸素不足などに反応します。
呼吸を再開しようとする反応が繰り返されることで、交感神経が活性化し、血圧が上昇することがあります。
また、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や心臓・血管の病気とも関連しています。
特に、治療をしても血圧が十分に下がらない方では、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することが大切です。
夜間頻尿についても、睡眠中の呼吸や胸の中の圧力の変化が、尿の量を調節する仕組みに影響することがあります。
こうした関係を知ると、別々の症状だと思っていたものが、実はつながっている可能性が見えてきます。
・ 私自身も「よくあること」と思っていました
振り返ってみると、私自身も、夜中にトイレに起きることは年齢のせい、血圧が高めなのは体質、と考えていました。
しかし、睡眠について知るうちに、それぞれを別々に考えるだけでは見えてこないことがあると感じました。
医療の仕事をしていると、患者さんの状態を一つの症状だけで判断せず、全体を見て考えることの大切さを実感します。
それは、自分自身の健康についても同じなのだと思います。
もちろん、症状があるからといって、必ず睡眠時無呼吸症候群というわけではありません。
大切なのは、思い込みで片づけず、気になるサインに気づくことです。
・まずは、自分の睡眠を振り返ってみませんか?
– 大きないびきを指摘されたことがある
– 寝ている間に呼吸が止まっていると言われた
– 夜中に何度もトイレに起きる
– 高血圧を指摘されている
– 朝起きても疲れが取れない
– 日中に強い眠気を感じる
当てはまる項目があるからといって、すぐに病気と決まるわけではありません。
ただ、複数の症状が重なっている場合や、家族から呼吸停止を指摘された場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
特に、日中の強い眠気がある方は、運転中や危険を伴う作業中の居眠りにも注意してください。
・ 次回は「夜中のトイレ」と「高血圧」の関係を詳しく
第2回では、次の内容について、もう少し詳しくお話しします。
– なぜ睡眠中に呼吸が止まるのか
– どのような人がなりやすいのか
– 呼吸の停止が夜間頻尿に関係する仕組み
– 睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係
「年齢のせいだから仕方がない」と思っている症状にも、見直すきっかけがあるかもしれません。
私自身の経験も交えながら、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。
また当院でも睡眠時無呼吸症候群の受診もしています。
次回も、ぜひお読みください。
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