055-278-2016
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三輪院長ブログ

パーキンソン病の治療薬:各論⑤ ゾニサミド(トレリーフⓇ)

今回お話しさせていただくのはゾニサミド(先発製品名はトレリーフⓇ)というお薬です。このゾニサミドは元々てんかんの治療薬でした。これは日本国内での話なのですが、てんかんを発症したパーキンソン病患者さんの治療にと、このゾニサミドを使用したところ、てんかん発作が改善しただけでなくパーキンソン病の症状も良くなった、と言うことがありました。これを目の当たりにした主治医の脳神経内科医の先生が、日本国内で臨床治験を行い、実際にパーキンソン病の症状の改善と、ウェアリングオフ(wearing-off:症状の日内変動のことです)を緩和させることが証明され、名前と容量を変えて新たにパーキンソン病の治療薬へと生まれ変わった薬剤なのです。

てんかんの治療の際は100~300mgぐらい使用することが多かった薬剤ですが、パーキンソン病の治療に使用する際はずっと少なく、25mg・50mgの2段階の量を使用します。臨床試験において、この量で十分症状の改善が得られたためです。副作用としては眠気や食欲不振・吐き気、湿疹、粘膜炎などに気をつける必要がありますが、てんかんの治療に用いるときよりもかなり少ない量で治療をするわけですから、副作用をそこまで心配する必要がないのも利点です。

一方で、これまでお話ししてきた薬剤と違い、何故パーキンソン病の症状を改善するのかといった薬理学的なことは不明な点も多く、内服してみたもののあまり効果を実感できない患者さんが一定の割合でいらっしゃることも確かです。効果が出る場合でも緩やかであることが多いため、効果が実感できなくても副作用が出なければ、3ヶ月ほどは内服を継続して症状を観察した方が良いと考えられています。研究段階では振るえの症状(振戦)により効果が期待出来る可能性も示唆されていますが、患者さんによって反応は差がある印象です。

治療効果としてはパーキンソン病の運動症状の改善と、ウェアリングオフの改善を期待して使用します。使用する際はL-dopa製剤を既に使用しており、そこに併用する形でないと開始できません。

 

甲斐リハビリテーションクリニック 院長 三輪道然

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