未開を拓く・・・
武田正之(元山梨大学病院長・医療法人久晴会常任理事)×小林晴名(久晴会グループ会長 医療法人久晴会常任理事・株式会社 山梨福祉総研代取)
Vol.1 「故秋山仁先生を通じて山梨でつながったご縁」
小林会長(以下、小林) 初めて武田先生にご挨拶させていただいたのは、今から24、5年程前になりますでしょうか。当時私たちはリハビリの専門職、看護職、介護職等と共に排尿障害のキュアとケアについて学ぶ勉強会を定期開催していました。
その頃、未熟な私を公私共に導いて下さっていた、当時甲府駅北口で秋山皮膚泌尿器科医院をご開業されていた秋山仁先生より、武田正之先生をご紹介して頂き、排尿障害の基礎知識共有を目的とした勉強会や,発症予防・重症化予防等を目的とした啓発活動や様々な活動へご指導とご協力を頂いたのがご縁の始まりでした。
その後、これらの活動を続けながら「排尿障害に対するリハビリテーション介入の可能性」について学べる環境を探していたところ、山梨医科大学(現山梨大学医学部) 第二解剖学教室の研究者が「解剖学とリハビリテーション」をキーワードとした論文を執筆している事を知り、急ぎ教室にお電話をしたところ、幸運にも対応してくださったのが熱海佐保子(同教授)先生でした。熱海先生より「排尿障害を本気で研究したいなら泌尿器系の形態解剖をもう一度学ぶべきです。よかったらウチに来ませんか」とお誘い頂き、社会人研究生として3年間同教室にお世話になる幸運を得ました。
更に山梨医科大学と山梨大学が合併して新しい大学ができるというときに、大学院に進むことを勧めて頂きました。進学後は修士・博士課程を通して6年間、泌尿器科学教室に在籍させて頂き、武田正之先生にこの間指導教授としてご指導を賜りました。
その後も武田先生には公私ともにご指導いただき、2021年4月に久晴会グループ 医療法人 久晴会の常任理事にご就任いただき、さまざまな場面でご指導やアドバイスをいただき法人の成長に尽力頂いております。
武田正之常任理事(以下、武田) 私は、1999年6月に山梨医科大学泌尿器科の教授に就任し新潟から山梨に来ましたが、私の父は山梨県出身で、私も山梨県に本籍がありました。秋山先生はおそらく私の父と同級生くらいの年齢で、北海道大学を卒業されて山梨に帰ってきて秋山皮膚泌尿器科医院を開業されていていました。こちらに来たときから時々お会いしていたご縁もあって、小林晴名さんをご紹介して頂きました。
山梨大学と山梨医科大学が合併して現在の新しい山梨大学になったのは、2003年です。新しい大学ができてから、小林さんが大学院に進学して修士課程を修了、その後に博士課程に進み医学博士を取得されたのですね。あんまり大した指導はしなかったのですけれどね(笑)。
小林 いえいえ。武田先生は、私だけでなくすべての医局員に対して「どのように育てるか」「どのように前に出すか」ということを考えられながら指導されていることを肌で感じておりました。私は研究だけでなく経営にも携わっていましたので、武田先生の医局運営を真近に観させて頂き、医療者・研究者以外にも経営者として、今と異なる立場に居られたとしても、多くを率いて法人運営をされていたのだろうなと常々感じておりました。
武田 小林さんは排尿の問題に関するラジオ番組を企画され、ご自身でお金を集めて、日曜の朝にYBSラジオで放送していました。そのときのアナウンサーの長田由布紀さんが、その後、山梨県教育委員会の委員長に就任されたりと、ラジオでもいろんなご縁がありましたね。
とにかく日本は高齢化しており、65歳以上の高齢者が29.1パーセント(「我が国の総人口」2022年9月15日現在推計)総人口の3割に迫っています。高齢者の問題としては認知症やフレイルという身体機能の衰えがありますが、それと同時に排泄の問題もすごく大きいのです。高齢者福祉はとても大きな課題になっており、小林さんはそういう点に早くから取り組まれた着眼点がすごいですね。ただ、現在は需要が多すぎますが。
(Vol.2に続く)