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Dr.コラム

糖尿病の食事療法

糖尿病専門医の磯部です。
第6回のテーマは「糖尿病の食事療法」です。
糖尿病の治療の3本柱は食事療法・運動療法・薬物療法ですが、今回はその中でも特に誤解されがちの食事療法について解説します。

まずはじめに
「糖尿病だからといって食べてはいけないものはない、かついくら食べても大丈夫というものもない」ということを知っておいてください。

よく患者さんから聞かれる言葉として、「甘いものは絶対食べちゃダメですよね」「これは血糖値にいいと噂で聞いたからたくさん食べました」「お米は太るからなるべく食べないでおかずばかり食べています」などがありますが、これらは正しいでしょうか。

食事療法で重要なのは「バランス」=「食べ方」です。どの食品においても体にとって適切な量があるので、1回に食べる量と食べる頻度さえ守っていただければ食べてはいけないものは基本的にありません。

三大栄養素に着目してみると、1日の総摂取カロリーの内、炭水化物55~60%、たんぱく質15~20%、脂質20~25%が適切な量なので、お米を極端に減らすのも、脂質を摂りすぎるのもよくないです。特に主食を食べないと、身体にとってはエネルギー不足な状態になりますので、①疲れやすくなる、力が出ない、②代わりにおかずを必要以上に食べる=塩分過剰摂取、③次の食事までお腹が空いてしまって間食の量が増えるなどデメリットのほうが多いです。

また果物の食べ過ぎもよく血糖増悪の要因として挙げられますが、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素が含まれるので、全く食べてはいけないというわけではありません。1日こぶし大1つに収まる量なら問題がない事が多いです。

お菓子などの間食に関しても同じです。1日160kcalを目安に食べ、食べた分だけ①お米を減らす(160kcal=100g)、または②運動を増やす(160kcal=1時間のウォーキング)なら問題はありません。

まとめると
糖尿病食≠制限食
糖尿病食=健康食(誰が食べても体にいいもの、家族みんなで取り入れたい食事)

血糖値を下げる能力は体質、活動量などによって一人ひとりで異なるため、ご自身の1日の摂取カロリー、運動量、体重、HbA1cの数値をしっかり把握した上で、現在食事内容は過剰かそれとも妥当か振り返ってみましょう。

甲斐リハビリテーションクリニック 磯部さやか

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