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Dr.コラム

糖尿病の合併症その2

糖尿病専門医の磯部です。
第5回のテーマは「糖尿病の合併症その2」です。
前回は糖尿病合併症のうち大血管障害について紹介しましたが、今回は細い血管の障害によって引き起こされる合併症についてお話します。

神経障害
糖尿病の合併症の中で最も早期に発症します。神経には運動神経、感覚神経、自律神経がありますが、どれも障害されてしまいます。両方の脚の指先から同時に始まるしびれや足の裏の違和感、こむら返り、立ちくらみ、下痢・便秘などは糖尿病の神経障害の可能性があります。神経障害が進行すると無自覚性低血糖や無症候性心筋梗塞、足壊疽などにもつながります。

眼=網膜症
網膜は眼球の内側にある網状の組織でカメラのフィルムに相当する組織です。その網膜の血管が障害されてしまうと、眼底出血・視力低下などを惹き起こし、先進国では糖尿病網膜症が失明の原因第1位 になっています。初期では自覚症状が乏しいため、早期発見、早期治療がとても重要です。自覚症状がなくても定期的な眼科通院と眼底検査が必要です。

腎障害
腎臓は体内の老廃物や毒素を尿として排出し、体内の様々なバランスを保つのに欠かせない重要な臓器です。腎臓の働きは本来加齢によっても徐々に低下していくのですが、糖尿病で腎臓に栄養を送る血管が障害されてしまうとその悪化のスピードはとても速くなり、最悪の場合透析に至るのは有名ですよね。透析にならないようにするためにはどうしたらいいですかとよく聞かれますが、大事なので血糖値、血圧、コレステロール、体重、喫煙、尿酸値など腎臓に負担をかける項目を安定させることです。糖尿病による腎臓のダメージがどの程度進行しているのかを早期に反映する項目として「尿アルブミン」があります。これについては別のコラムで詳しく解説しますが、気になる方はぜひ主治医にお尋ねください。

まとめ
神経障害や網膜症、糖尿病性腎臓病はどれもすぐに致命的とならないのですが、発症してしまうと生活質を大きく落としてしまいます。また症状が出てからではなかなか治癒することが難しいので、予防が何よりも大事になります。

甲斐リハビリテーションクリニック 磯部さやか

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