糖尿病専門医の磯部です。
第3回のテーマは「糖尿病の種類」です。
糖尿病で一番有名なのは1型糖尿病と2型糖尿病ですが、実はそれ以外にも様々な原因があり、その原因によって分類されています。
(過去に私が解説した動画がYoutubeにありますのでぜひご覧いただければ幸いです。)
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=BZWVgkW4xOQ
・1型糖尿病
β細胞の破壊の速さや自己抗体の有無などによってさらに3つの病型に分類できます。
破壊のスピードが速い急性発症と劇症のタイプでは、インスリンの分泌が、発症早期から低下しているため、インスリン注射が必須です。
緩徐進行タイプでは初期に分泌が保たれていることが多く、飲み薬で治療する場合もありますが、進行してくるとやはりインスリン注射が必要になってきます。
・2型糖尿病
もともと血糖値が高くなりやすい体質、つまり遺伝因子をもとに、過食や高脂肪食などの食習慣に加えて、肥満、加齢やストレスなどの環境因子があると発症します。
・妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は、糖尿病体質などリスクがある中で、妊娠に伴うインスリン抵抗性の変化により、妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至ってない糖代謝異常です。
・遺伝子異常による糖尿病
MODYやミトコンドリア糖尿病などがあり、日常診療では気づかれにくく1型や2型糖尿病として治療されていることもあります。
・膵疾患による糖尿病
インスリンを分泌する膵臓の炎症や腫瘍、手術などによって分泌低下に至るものを膵性糖尿病といいます。
・内分泌疾患による糖尿病
インスリンの作用に拮抗したり分泌を抑制したりするホルモンが過剰に産生される結果、糖代謝が悪化します。
・肝疾患による糖尿病
肝臓もインスリンが作用する大事な臓器なので、様々な肝臓の疾患においてもインスリンの抵抗性が上昇します。
・薬剤による糖尿病
一番有名なのはステロイドですが、使用する量によっては飲み薬、塗り薬、関節注射でも血糖値が悪くなる可能性があるので注意が必要です。
以上様々な糖尿病の種類について紹介しましたが、一番伝えたいのは
「糖尿病=生活習慣が悪いせいだと決めつけない」ことです。
1型糖尿病はもちろん、2型糖尿病の発症には環境因子に加えて遺伝因子の関与がありますので、一概に生活習慣だけで発症するものではありません。ただし、生活習慣が主な原因ではないとしても、糖尿病がある方が食事や運動に気を付けていかなければ当然血糖値が悪くなってしまうことも皆さん納得の事実だと思います。糖尿病の原因も知った上で一緒に糖尿病と向き合っていきたいと思います。
甲斐リハビリテーションクリニック 磯部さやか