糖尿病専門医の磯部です。
第2回のテーマは「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」です。
前回のコラムでは「糖尿病の治療意義」について説明しましたが、糖尿病の合併症の発症を防ぎ、糖尿病がない人とかわらないQOL・健康寿命を保つためには、このHbA1cがとても重要です。
健康診断や定期通院の際に主治医の先生から「今回のHbA1cは○○でした。」と説明されたことはありますよね。「血糖値に関連した項目ということはわかっているけど血糖値と何が違うのか」と思ったことはありませんか?
・HbA1cは血糖値の状況を反映する血液検査項目です
・血液中を流れる蛋白質である「Hb:ヘモグロビン」にブドウ糖が結合したものがHbA1cです
・HbA1c(%)はブドウ糖が結合したヘモグロビンの割合をパーセントで表しています。
・血糖値が高ければブドウ糖がヘモグロビンに結合する割合も増え、HbA1cも高くなります。
・血糖値は時々刻々と変化しますが、HbA1cは短時間・短期間では変化しません。
たとえば:
採血日の前日に食べ過ぎたとしてもHbA1cはすぐに上がりません。
先月はHbA1cが10%でしたが、今月は運動も食事も見直して血糖値はHbA1c6%相当になったけど、実際今月のHbA1cは先月の分も反映されるので遅れて改善してきます。
・血糖値が国語や算数など中間試験や期末試験のテストの点数だとしたら、HbA1cは通信簿の5段階評価のようなものです。
・HbA1cが測定できるのは最高1カ月に1回です。
血糖値 | HbA1c | |
採血前の食事 | 影響する | 影響しない |
表すもの | 採血時の血糖値 | 過去1-2カ月の血糖値の状況 |
HbA1cの目標値は多くの場合7.0%未満ですが、年齢や持病によって異なることがありますので、ぜひ主治医にお尋ねください。
甲斐リハビリテーションクリニック 磯部さやか