055-278-2016
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Dr.コラム

高血圧について➃

前回の続きから...

仕事でよく歩きます,という人も診れば多くの人が運動不足です.ボルグ指数12以上,ややきついと感じる,心拍数や呼吸数が上がりしっかり汗をかく,というような有酸素運動が30分以上継続されることが,健康管理上有効な運動です.生活習慣病のガイドラインではそれを毎日30分以上,もしくは週に180分以上.そこにレジスタンス運動,つまりは筋トレを組み合わせることが推奨されています.もちろん球技などでも,有効な運動量に相当するなら推奨です.

そんな時間ないよと言う人,仕方ないのです.およそ500万年,現在のヒトとしても数万年以上をかけて進化してきた我々の身体が,たかだか数百年で劇的に変わった現代の生活に合わせて早々とフィットするわけがありません.有効な運動に時間を割かないと,現代人の身体は生き物として健康を維持することが難しいので,スマホを観ている時間,酒飲んでいる時間を削りなさいということです.

減塩の推奨は食塩相当量にして6g/日未満.現代の日本人は約10g/日ほど塩分を摂取しているようなので,健康上はその6割未満にしなければならず,それは多くの人にとって随分味気のない食事となるでしょう.そして,塩分表を見て献立を考え,健康的な食事を準備し,減塩の推奨量を達成することは,ほとんどの人にとって30分の運動時間を確保することよりずっと困難です.できる範囲で6gに近づけるべきなので,減塩調味料を使うとか,麺類の汁をわざわざ飲まないとか,誰でもできることから減塩の努力をしましょう.1日の総カロリーを減らすことでも,自ずと塩分摂取量も減りますね.

禁煙や節酒は言うまでもありません.百害あって利は一利.心地よくなり気が済むだけです.吸わない人,飲まない人の方が身体は健康です.

食べたいだけ食べることもスマホもタバコも酒も,心の健康に必要かもしれませんが,もしかして身体の健康を犠牲にしているのならば,それに費やす時間やお金が減り,その分が身体の健康に直結する何かに変わったら良いですよね.心の健康のために身体を犠牲にすることは多々あっても,身体の健康のために心が犠牲になることは少ないと思います.公園でのランニングは心のストレス減にもなり得ますが,夜に晩酌しながらドラマを観てても有効な有酸素運動にはなりません.

ちなみに私は,ウイスキーが大好きなので時々飲みますが,毎晩のように癖で飲んでいた状況からは随分前に脱しました.タバコは元々吸いません.週に1回はキックボクシングで有酸素運動と筋トレ.ミットを殴り蹴り,仲間と軽いスパーをしています.次の誕生日で40歳.仕事も趣味も子育てもありますが,30代以上に健康な40代にすべく,更にどこかの時間をどうにかして運動に割こうと考えています.

次回は,高血圧症を含む生活習慣病の投薬治療の話を.そして,動脈硬化が関わる脳卒中の話をしていこうかと思います.

甲斐リハビリテーションクリニック 一瀬佑太

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